身体中を震えさせた彼の背中に自然に手を掛け、包み込むように抱きしめる。
暫くして不意に顔を上げて近付き、軽く唇を重ねてから彼はエンジンを掛けた。
ゆっくりと走り出した車の狭い空間、あの時とは違う何とも言えない雰囲気。
手に取るように分かる再び近付いた二人の距離が胸を叩いて病んでいる。
そして、部屋に辿り着いて二人でソファーに座り込み、また同じ事を繰り返そうとしていた。
「早く、寝てください……今日は私のベッド使って良いので……」
「それって、一緒に……?」
「違います……私は此処で寝ます……」
「そんな事させられない……良い方法あるから
先に色々してきて、お風呂とか、着替えとか……」
そう言って彼はジャケットを脱ぎながら自身の部屋に入って行く。
見るからに疲れた背中を眺めた後、自室に入って着替えを手に浴室に向かう。
リビングの途中と浴室で湯船に浸かってる間、着替えをして洗面台で髪を乾かしてる時に何度か床を叩く鈍い音が聞こえていた。
何をしてるのかと思いながらも暢気に構え、色々と済ませて浴室を抜け出して見えたリビングに足が止まる。
まるで旅館のように真ん中に布団が敷かれ、テーブルが隅に立て掛けられて佇んでいた。
在ったはずのソファーが何処にも見当たらず、目の前の変化に大体の予想をして布団の端に腰を下ろす。
そこで彼が部屋から出て来るなり自分に向かって言った。
「……俺も一緒に寝ていい?……何もしないって約束するから……」



