トワイライト(上)


彼は躊躇いがちに手を伸ばし、尚且つ戸惑い気味に身体を寄せ、包み込むように抱きしめた。


「嫌だったら、殴って」


「……出来るわけ……ないです……そんなこと……」


優しい温もりが纏う中で耳の近くから声が流れてくる。


「このままで聞いて貰っていい?」

「はい……」


深く吐き出した息が震えていた。


「俺が居ない時は誰か来ても絶対に出なくていいから
 朝は大丈夫だと思うけど、夜は俺と一緒に帰って、なるべく合わせるようにする
 それと、暫くは一人の外出も我慢して貰う事になると思う、あと……キスしていい?」


不意に身体が離れて急に見つめられ、右往左往しながら迷って答える。


「それは……少し、早いような……」


すると彼は罰の悪そうな顔をし、その表情に胸を撫で下ろした瞬間。

柔らかさも感じる間も無く、瞬く間に触れただけでキスが終わっていた。


「ごめん、抱きしめたら抑えられなくなって……」


その言葉と尚も自分に触れたそうに躊躇う手を眺め、ポケットからハンドクリームを出し、ささくれた指先に塗りながら自然に言葉が落ちる。


「ありがとうございます……気を遣って貰って……」