「あんた、いつの間に彼氏出来たの?」
「彼氏じゃないよ、ただの顔見知り」
「ふーん……」
受付に入ると隣で凜太郎が不敵な笑みを零したまま黙り込む。
その様子から変な勘繰りをしてる事を察し、少し近付いて否定を入れた。
「たまたま店先で、転がった頭拾っただけだし……
そのお礼に来ただけで、別に変な人じゃないよ……」
立て続けに並べる言葉を凜太郎は黙って聞き、じっと此方を見据えて再び不敵な笑みをして言う。
「そうね、雰囲気は悪くないわ、けど、彼氏としては少し不安じゃない?」
「だから、そう言うんじゃないって……」
その目線から逃げ出すように受付を抜け出した時。
「あんた、美容師なんて女が黙ってないわよ、気をつけなさい」
聞こえた言葉に思わず振り返ると、凜太郎は睨むように此方を見ていた。
「なに?まだ何か言い足りないの?」
自分でも分かるほど不服な面持ちに凜太郎は苦笑いをしながら言う。
「そろそろ自覚しなさいよ、その呆れるくらいお人好しな性格」
何を言いたいのか全く理解出来ず、ただ仏頂面を下げて受付を後にした。



