ここに連れて連れられて、2週間が経った。




正直なところ、何にも起きていないし、記憶も何一つ思い出していない。




「はあ」




そんな状況の中で、何を見つけろと言うのだろうか。



見つかるものが何もない。




「ふう」



何もない状況に、深いため息が出る。





「ため息ばかりだね」



「あ、ごめんなさい」



今日はお屋敷の掃除の分担で、碧斗くんと掃除中の最中だった。



「ふふ、そんな君も可愛いね♪」



「・・・・・・・・」




なぜそういう言葉がでるんだろう、彼は。



この前の碧斗くんは、何も考えてなさそうで実は色々感じて見ているのだと、紫衣羅くんについて色々言ってあげていた事に少し彼のこと感心していたのに、結局はいつもの飄々とした碧斗くんだ。




「ねえ、碧斗くん」



「ん?」



「いちいち抱きついてくる行為やめてもらえないかな?」



既に抱きつこうという手つきで向かってくる碧斗くんに注意する。



「えっ!?」



普通の事のはずなのに、逆に取ればセクハラの行為に近い行為なのに、碧斗くんは驚愕な瞳で私に向ける。



(そこまで、驚くものなの?)



「なんで!?」



なんでって、私が戸惑うから・・・・。



どうしたらいいのかわからないから・・・。




「やだよーー!」



「!」



ただっ子のようにばっと抱きつかれる。



結局、抱きつかれてしまっている。



「えへへ~~♪」





(はあ。全然、掃除が進まない)




本当、どうなるんだろう、この先・・・・・。



何も起きない事がいいことに、不安が募るばかりだ。







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【ガ‥チャ‥】


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「!?」




不意にあたりを見渡した。




「どうしたの?」



「音、しなかった?」



「音? いや」



「そう・・・」



確かに音がした。



ガチャという鍵が開く音が確かにはっきりと聴こえた。



(気のせい?
でも、本当に聴こえた。一体あれは?)