漆黒の鏡 記憶のかけら

それから数日後、私は碧斗くんに紫衣羅くんについて尋ねた。



「ねえ、碧斗くん。この前なんであんな事、紫衣羅くんに言ったの?」



なんとなく気になっていた。



どうして、碧斗くんは紫衣羅くんの素性に気付けたのか。




「ああ、あれはね・・・・」



私の尋ねに、碧斗くんは少し間を置いて、口を開けた。



「感覚だよ」



「感覚?

もしかして、碧斗くんは人の心を読めたりするの?」



だとしたらすごいけど・・・・・・・・。



「いや、そういう訳じゃないよ」



「じゃあ、オーラが視えるとか?」



「ううん、じゃなくて・・・・。

すべての人が分かる訳じゃないんだけど、多分、この人はこういう気持ちを持っているんだなって、なんとなく分かるんだよ」



それって、逆に言い表すと・・・・。



「エスパー?」



「うーん、確実のものじゃないけど、さっき言ってくれた、オーラが視えると似てるかな?」



よくわからなくて、少し首を傾てみる。



「つまりね、何回か一緒にいると分かるんだ。この人はきっとなにかを抱えてるんだろうなって。確実に言えるものじゃないけど、まあなんとなくそう思うだけ、感覚だからね。

人によっては、分からない人もいるしね。
でも、基本的にはっきりしたものじゃんくて曖昧なんだよ。でも、全ての人が分かる訳ではないんだけどね」



だから・・・・・・・・?



だから、はっきりと言えた?



「だからなの?だから言えたの?」



碧斗くんに繰り返すように尋ね返す。



「まあね。でも、何かを隠してる人は基本的には感じないんだけど、紫衣羅の場合、はっきりと分かった。あいつは隠してるようで隠しきれてない」



碧斗くんが言う紫衣羅くんに向けて言っている言葉は決して曖昧なことではなく、むしろはっきりとしている。



どうして分かるのだろうかと、疑問を感じるが・・・・・・・・。



「何を隠してるの?」



「全部だよ」



「全部?」



「あいつはすべてを隠していて、すべてを悩み抱えている」



(すべて?すべてって何を?)



「何を隠してるの?」



「さあ、そこまでは分からない。でも、結構根強い感じはするかな」



「・・・・・・・・」



紫衣羅くんはいったい何を隠してるのだろうか。



でも、聞くべきじゃないんだろう。



何かを隠してるからこそ、あんな言葉が出たというのか。