漆黒の鏡 記憶のかけら

「ねえ、紫衣羅ー」



朝食を終えた後、碧斗くんが自分の食器を持って、キッチンに立っている紫衣羅くんに近付く。



「ん~?あ、ありがとう」



「あのさ、言いたかったというか気になる事があるんだけど」



食器を紫衣羅くんに渡しながら言う。



「気になる事?」



「うん、お前の性格というか性質に」



「!? はっ何?」



その時紫衣羅くんから、一瞬どよめきのような感覚が表情に現れた。




「別にただ気になっているだけ」



だけど、紫衣羅くんは「別に問題なんてないと思うけど」と鼻で笑う。



どうでも良さそうな紫衣羅くんの態度に、碧斗くんはむっとなるものの言葉を続ける。



「じゃあなんで、俺に対して時々毒を吐くような言葉を使うの?しかも言った後、慌てて直そうとするし」



「それは、お前の行動にイラッとするから」



「・・・・それだけ?」



疑うような目で紫衣羅くんを見つめる。




「それ、俺もなんか違和感あった」



テーブルの方にいる恣枦華くんが、2人の会話に入ってくる。



そして、碧斗くんはいつもの飄々とした感じではなく、有無言わせない瞳で紫衣羅くんに目を向ける。



「そりゃあさ、ここにいる人達は何か抱えてるし、問題はあるよ。俺だって、人に言えないこと隠してるから、どうこう言えないけどさ」



「・・・・・・・・」



「深くは追求とかするとかしないけど、せめてさ、ここにいる間だけでも、少しは柔らかくしたら?」



「・・・・えっ・・・・なっ」



それは、碧斗くんが紫衣羅くんの心に図々しく入ろうとしているのではなく、単にもう少し距離を縮めたいとかそういうものだろう。



きっと碧斗くんなりの考えなんだろう。



こんな私でも紫衣羅くんから距離を感じているのは事実だ。



事実なんだけど・・・・・・・・。