「なんかあれだよね」



「?」



洗面所にむかっている紫衣羅くんの後ろ姿に、碧斗くんぼそっと私につぶやく。




「あの人、絶対に腹黒いと思う」



「腹黒い?・・・・そうかな、紫衣羅くん優しいよ?」



そう感じた事は一度もないけど・・・・。



「そうだけどさ、なんとなくそう感じるんだよね」



「・・・・そう、なんだ」



すると、碧斗くんは少し間を溜めて低い声で言う。



「それにさ、時々だけど俺に対してだけに、きつ目
めの口調の言葉が出るんだよ!他の2人には絶対に言わないんだよ?」



「それは、腹黒いと何か関係あるの?」



あまり関係なさそうに思うけど・・・・。



「あるよ。いつも穏やかな表情ばっかりなのに、そういう人が急に悪い口調を使うと色々怖いんだよ」



「怖い?」



「そのままの意味だよ」



「?」



碧斗くんが言っている言葉は正直よくわからなかった。



紫衣羅くんが怖いってどういう事なんだろうか。





「それに彼、ちょっと危うい人間だよね。それに何か隠してるぽいから、あんな感じになってるのかもしれない」



「えっ?」



紫衣羅くん、腹黒い感じには見えないのだけど・・・。


彼はこんな私にでも優しく暖かい人だと思うけど。



碧斗くんはそうは思えないって事なのだろうか。



(どうしてなんだろう。
それに、隠してるって・・・・)