漆黒の鏡 記憶のかけら

「朱笆さんは、明るい人は苦手ですか?」



「えっ」



私も気になることを朱笆さんに尋ねてみる。



「私は苦手です。どう接したらいいのか分からないから」



「それは・・・・、碧斗くんの事を指してます?」



「はい」



朱笆さんは何気なく言った碧斗くんの名前に、私は首を縦に頷いた。



「そうですか、僕は好きですよ。そういう人がいたら、会話に詰まりがなさそうで楽ですから」



「楽、なのかな・・・・」




別に碧斗くんが苦手という訳ではない。



ただ、どう反応したらいいのかわからないだけ。



普通、素っ気ない態度を取ると、感じ悪いと思って離れていくはずなのだけど、碧斗くんの場合、私の反応を待つ以前に、むしろ自分から近づいてくる。



それも、至近距離で・・・・。



碧斗くんは変な人なのか、それとも、感覚がおかしいのか、よくわからない。



「沙紅芦さんは、碧斗くんが苦手なんですか?」



「苦手という訳ではなく、ただよくわからなくて。どう接したらいいのか」



「・・・・・・・・」



朱笆さんから私の言った言葉に少し困った表情が感じる。



「ごめんなさい、暗い人間で。私みたいな暗い人間がいてもつまらないだけですよね」



それは、自分でも痛い程わかっているから。



つまらなくてどうしようもない人間だって。





朱笆さんは少しだけ間を置いた後、私の瞳をまっすぐに見て告げた。



「そうですね・・・・。でも僕は、そうは思いませんよ」



「・・・・えっ?」




そして、驚きの言葉を私に向けられる。




「あなたは僕からすれば、本当は明るい人間ではないかと思います」



(えっ!)



突然にしても、なぜそんな言葉がでるのか、あまりのおかしさに思わず反論する。



「それは違います!私はそんな人間じゃないですから」



「そうでしょうか?なんとなくそう思うんですけどね」



「・・・・・・・・っ」



彼はわざと言っている訳ではないと思う。



優しいからそう言ってくれるのだろう。



でも私は、明るい感情を持った人間じゃない。