漆黒の鏡 記憶のかけら

「はあ」



「むう」



碧斗くんは不満そうに口を尖らせている。



「助かりました、朱笆さん」



「いえいえ」



碧斗くんに抱きつかれて離してくれなかったところを、朱笆さんがはがして助けてくれた。




「ひどいじゃんか、朱笆さん!」



普通の事なのに、碧斗くんは気に入らず、朱笆さんにあたる。



「何もひどいくないですよ。それにむやみに、彼女に抱きついたり触れないようにしましょうね」



「それは、無理です!」



(即答!?)



碧斗くんはくやしそうに私の方に指を向けてブンブンと振る。



「だって、目の前にこんなかわいい子がいるんだよ。抱きつかなきゃ失礼だよ!」



「その行為の方が失礼な気がするのですが・・・・」



「えっどうして?」



朱笆さんの返答になぜか碧斗くんはきょとんと首をかしげる。



「・・・・本当に君は、その顔で言われると本気で驚きがありますね。見た目と中身のギャップがありすぎて・・・・」


「だよね♪」



「褒めてませんよ、まったく・・・・」




すると、朱巴さんは私の方へと顔を向ける。



「君も抵抗とかした方がいいですよ?」



「あ、・・・・はい」



こんな事を思うのは変かもしれないけど、すごく不思議な感じがしたのは事実だ。



誰かに触れられたり近くに来られたのは、すごく久しぶりな感じがした。



記憶はないけど、感覚の気持ちとかは分かる。




そもそも家族ともまともに話していなかった気もする。




私はいつも1人だったんだろうな。



何もなかったんだ、何も・・・・。




ちらっと二人の方を見やる。




「・・・・・・・・」



(楽しそう・・・・)




こんな状況だけど、仲良くしているのだろう。



私にもできるのだろうか・・・・。



みんなは私を気にかけてくれているけど。