漆黒の鏡 記憶のかけら

猫とのじゃれあいにようやく気が済み、紫衣羅くんは猫を膝の上に置いた。




「それで、どうしたの?でもまあ、なんとなく分かるけどね」



そう言って、私の方へ向ける。



「・・・・分担作業終わったの?」



「一応ね」



「そっか」



「もしかして、どうしてこんな事態になっているのか考えてる?」



「えっ」



「やっぱりそうなんだ」



「・・・・・・・・」



まるで心を見透かされているかのような、不意をつかれた感じになる。



「・・・・・・・・」



気持ちの反動に舌唇をぎゅっとする。



「君ってさ、不意をつかれると口をむっとするよな?」



「えっ」



今まで気にした事なかったけど、そう言われると確かによくしているかもしれない。



「俺だってさ、どうしてこんな事になっているか思うよ。大事な想いって言われてもピンとこないし、本当にそんなものが俺の中にあると思えないからね」



「紫衣羅くんは、ないの?」



「はっ?あるわけないじゃん。そんな感情作って何になるの?」



「・・・・・・・・」



(ここに連れて来られた以前に、私と同じ大切な想いなどそういう感情がないからここにいるって事だもんね)



「だよね・・・・。私ね、記憶がなくても自分の性格がどういうものかは分かるの。自分は明るい人間じゃない事を。多分私は、どこ行っても一人だという事・・・・」



こんな事、まだ知り合ってばかりの人に言っても仕方ない事だと思うけど、けど彼はどう思ってくれているんだろう。