漆黒の鏡 記憶のかけら

「どうかした?」



「あ、紫衣羅さん」




コンパクトミラーをじっと見つめて色々考え込んでいたら、紫衣羅さんが私に近付き声を掛けてくれる。




「何か考えでもある?」



「えっ」




唐突に尋ねられ少し驚くものの、すぐにコンパクトミラーに目線を落とす。




もし違っていたらどうしようかと思うけど、試す価値はあると思う。




私は戸惑いながらも、紫衣羅さんにコンパクトミラーを見せた。





「これ・・・・」



「これは?」



「ここで目を覚ます前に誰かにもらったような気がするんですけど、誰かはわからなくて」




戸惑いを持ちながらも、紫衣羅さんに説明する。




「もしかして、思い出した?」



「あ、いえ。なんとなくだけで」



「そっか」



今の私の言葉に思い出したのかと思われたけど、決して思い出した訳ではなく、単になんとなくだから思い出したとは言えない。



「それで、これ鏡になっているみたいなんです」



「あーコンパクトミラーか」



「はい」




その後の話しからは、少し途切れ途切れに内容をつなげていった。




「なんか゛刻が来るまで開けてはいけない゛って言われて。でも、それって今な気がするんです。ただ、何が起こるのかわからないんですけどね」



「そっか、じゃあやってみたらいいじゃない?」



「・・・・・・・・えっ」




紫衣羅さんは考える素振りも見せる事もなく、軽い感じで答えた。




「うん。俺もそう思う」



「!」





気がつくと他の3人も私に視線を向けられていた。





悩むようにまたコンパクトミラーに目を移すと、その様子に紫衣羅さんが助言を与えるように言葉を出してくれる。




「可能性があるのならやってみたらいいんじゃないかな?たとえ、それが違っていても、次の方法のヒントになるのかもしれないしね」



「・・・・・・・・そうですよね」




紫衣羅さんの言うとおり、なんらかの可能性があるのなら実行するべきだ。



もしかしたら、何かのきっかけに繋がるのかもしれない。




(うん)



私は紫衣羅さんの言葉を信じ、コンパクトミラーを開ける事にしたのだった。