漆黒の鏡 記憶のかけら

『凛ちゃん、今日もかわいいね!』


『もう、碧斗くん、そんなことばっかり。碧斗くんの方がかわいいよ』


『えーそうなことないよ~』


今日も俺はいつものように女の子に「かわいい」っと声を掛けていた。


そう、俺の日課を。


『こーら碧斗!いいかげん、真面目に練習しろ!』


いつものように女の子に声を掛けていたら、部活の先輩が眉間をぴくぴくしながら近寄ってきた。


『はーい、先輩って真面目すね~』


『お前が不真面目すぎるからだろ』


『俺はいつでも真面目ですよ。女の子に声を掛けるという』


『まじで本気で練習に参加しろ』


俺は中学ではサッカー部に所属していた。


サッカーが好きとかそういうのは全くなくて、むしろ興味などあまりない。


ただ、サッカーしている男子って女の子にモテると漫画などの描写に描かれていたという理由で、対して知識も全くないまま入ったのだ。



『監督さっきからめっちゃ怖い顔してるんだけど』


『ああ、本当すね』


『いいかげんしろよ、本気で』


『試合の時はちゃんと成績出してるからいいんじゃないすかね?』


『いや、そうだけどさ、普段からも真面目にしてくない?』


『いや、大真面目すよ』


『どこがだよ・・・・・・』


先輩も俺の女の子好きに呆れていた。


『ていうかさ、お前の入部の動機ってあれ嘘だよな?』



『当り前じゃないですか?真面目さを装わないと許可されないじゃないですか?』


さすがに自分の動機を伝える訳にもいかないと思って、あえて真面目さを装って、というか適当に真面目ぽく書いただけだった。


でも、それはもちろん虚偽な訳だけど、運よくそれで簡単に入れたのだ。



『はあ、そもそもなんでサッカー部に入ろうと思ったんだ』


『えっそんなの決まってんじゃないですか?女の子にきゃーきゃー言われる為です。スポーツ男子って絶対にモテますよね?』


『ああ、そう、不純すぎるだろ。たまにはあいつを見習えよ』



そう言って先輩はあるグランドで練習している1人の先輩を指差す。


「ああ、加羅〈から〉先輩は本当くそ真面目ですよねー」


俺は興味さなそうに軽く言った。


『あいつはプロ目指してるからな』


『ふーん、サッカーばかりで楽しいんですかね?もう少し柔軟な考えも必要だと思いますけど』


『いや、お前のは不純しかないだろ。ていうか、加羅の努力を否定しようとするな』


『あ、かわいい子発見!』


『たのむから真面目にやってくれ・・・・・』


先輩の注意に全く心に響くことなく、いつものようにかわいい女の子に目を引かれていくのであった。