漆黒の鏡 記憶のかけら

それから、一度部屋に戻り着替えと身を整えに行き、もう一度碧斗くんの部屋に戻ってきた。




「沙紅芦ちゃん~~」


「・・・・・・・・」


碧斗くんの部屋に戻ってくると、なぜか嬉しそうな表情で両手を広げて、おいでおいでをしていた。


本当にこの人もう元気になったんじゃないかと錯覚を起こしてしまう。



(でも、やっぱりいつもとちがう)


これは単なる私に対しての表現だろう。


元気なくても、そこだけは変わらないんだ


「沙紅芦ちゃん~こっちこっち♪」


「・・・・・・」


今度は座ってるベッドをポンポンとする。


先程からいかにも側においでと言わんばかりの仕草をしている。


(仕方ないか・・・・)


そっとベッドに近づき、1人分開けるように碧斗くんの隣に座った。


のだが、わざと開けたのになぜか近寄ってくる。


(これ、近いじゃなくてもう触れてるんですけど・・・・・)


「あの、碧斗くん・・・・近すぎない?」



「もろ最高だよ!」


「はい?」


碧斗くんはよく分からない発言をすることがあるから、反応に困る。



「あの、離れてくれない?近すぎて困るので」


「しょうがないな~」


「・・・・・・・・」


やっぱり嬉しそうな笑顔で向けられているのはどうしてだろう?



気にしても仕方ないのだろうけど。



一応間を開けて離れてくれたけど、ほんの少ししか空いてないのは言うべきだろうか?


「あの、もう少し開けてくれると」


「えー?うーん、しょうないな」


まだ近さはあるけど、このくらいの間ならいいかと納得できた。