「どうしよう・・・・」



(碧斗くんは全然起きてくれないし・・・・)



何度押しても碧斗くんの体に隙が出来ず、どうしたら起きてくれるのか考えていた。



「んー」


「・・・・ごめんんね」


「えっ」


一瞬、微かに聞こえてきた碧斗くんの言葉に私はピタッと手を止めてしまった。


続けて碧斗くんは微かな声で言う。


「気付いてあげられなくて、本当にごめんね・・・・・」



(寝言?)



そっと至近距離にある碧斗くんの顔を見る。


「・・・・・・」


さすがに月が出ているから明るいとはいえ、明かりが付いていないから表情までは分からない。


でも、ほんの少し程度なら分かるけど。



「碧斗くん・・・」



(というか・・・・・)



この状態は正直言ってドキドキして持たない。


なんとかして離れたいのに、ぎゅっと抱きしめられているのでどうにもならない。



「・・・・・・・」


(でも・・・・・)


これってやっぱり無意識でされていることなんだろう。


いまいち顔が見えにくいから表情が見えずらいけど。


碧斗くんの顔ってやっぱりかわいらしい顔立ちをしている。


性格はともかく女の子に好かれそうな子だと思う。



でも、今日、目にしてしまった碧斗くんは、初めてみるものだった。



碧斗くんの性格や顔からは想像できない程に、彼もまた心の中に大きく秘めているものがあるんだろう。



確かにいつもの碧斗くんに戻ってほしいって思うけど、私に何ができるのだろうか?



できることがあるとは思えないけど、でも、できることがあるのならしたいとは思う。


「・・・・・あたたかい」


人のぬくもりって不思議だ。



気が付くと碧斗くんの胸に委ねる形で目をつぶってしまっていた。