漆黒の鏡 記憶のかけら

「ごめんなさい、でもなんかつらそうに見えて。心配になる」



こんな事を私が言うなんて自分でも驚きだけど、でも本当に碧斗くんの様子がおかしいのは事実で心配になるくらいだ。



「・・・そう」



碧斗くんはなぜかふてくされそうな態度を取る。



「俺は君の方が心配になるんだけど」



「えっ」



「別に大丈夫だって言ってるのに。おせっかいだよ、あいつも」



あいつっていうのは、紫衣羅くんの事だろう。



碧斗くんは不機嫌そうな表情でそっぽを向いている。



「私がこう言うのも本当は変だろうけど、でもすごく心配で気になるの。だからあの・・・少しでも楽になるのなら聞くよ。私は聞くことしかできないから」



私は何も出来ないから、してあげる事も言ってあげる事も何もないから。



「・・・今のその言葉は、嬉しいけど嬉しくないな」



「えっ」



「紫衣羅にはいつか分かちゃうんだろうな。どうせなら、君に先に打ち明けたら少しはよくなるのかな」



「碧斗くん?」



碧斗くんはそっと私の頬に触れて、じっと私の瞳を見つめる。



私の瞳に碧斗くんの澄んだ蒼色の瞳が映る。



「俺の事知りたい?」



「えっ」



「君だけなら話してもいいのかな」



「あの」



碧斗くんはいつものおどけた表情で「後で部屋に来て、話すから」と言って自分の部屋へと向かった。