叶わなかった恋を紡ぎにいくから

辺りが強い風に包まれ、俺はびっくりして目をつぶった。
風が収まり、目を開けたその時、辺りは白いチューリップ畑に包まれていた。
風の揺れるチューリップは、今まで見た事ないくらい眩しく輝いて見えた。
綺麗で鮮やかで、透き通る白いチューリップに、俺は歯を食いしばりながら必死に笑顔を作った。
よく白いチューリップを穂輪が、病室に飾ってくれた事を思い出したからだ。
それで、穂輪はいつも言うんだ。

「白いチューリップの花言葉はね、真実の愛って言うんだよ。お互いを知り尽くした私たちにピッタリじゃない?」

あぁ、今なら分かるよ。
これは、最後の別れだ。
だけど…。
どんなに離れていても、君の事を思う。
「心の底から愛していたよ…。」