一か月後に世界が終わるという時に ゲーム仲間とオフ会する話

「思ったより混んでませんね」


 再びマスクで鼻から下を隠し、エントランス前でスマホを取り出しながら率直な感想を言うと、サツサトさんは苦笑いしながら頷いた。


「昨日、他の遊園地で事件があったばかりだからなぁ」

「いっぱい乗れますね」

「俺はまず記念にエントランスを1枚」

「僕もここは当然」


 カシャカシャという撮影音を鳴らしながらスマホをタップする。

 ここはリスポーン地点のひとつだ。


「タイムラインには後で他の写真もまとめて上げるよ」

「僕もそうします」

「船のチケットさえとれればなぁ。無人島ステージの聖地巡礼も行けたのに」

「え、あの島って夏休み中の船出てるんですか?」

「今日と15日の2日間だけ。で、まあ洞窟とか普通に有名じゃないあそこ。瞬殺だったよ。でも、るいちゃんはチケ取れたみたい」


 るいちゃんは去年大学を卒業したばかりの女性で、彼女ともたまに通話しながらゲームをしていた。