渋滞に入り、サツサトさんはぽつりと呟いた。
「どう過ごすのが正解かなんて、誰にもわからないよね」
「はい?」
「元カノがいてさ、一昨日電話してきたんだよ。半年ぶり? 俺が休日出勤や残業多くてあまり会えなくてさ。振られたんだけど……今になって会おうって言われて。しばらくネットの友達と遊びに行くから無理って言ったら、ネットの友達と今会うの? なんでよりによって。なんて言われちゃったわけ」
サツサトさんが両手でハンドルを握り、ピアノを弾くように指をパタパタと動かす。
渋滞に少し苛立っているのか、元カノの発言を思い出して苛ついているのか、俺にはわからなかった。
「俺もだいぶ悩んだし……今もまだ悩んでる。全部終わるってわかっててどう過ごすのか。今は――……俺が一番俺らしく居られるのがここだから。別に――ネットで繋がったとか関係ないじゃんって開き直って楽しむことにしたんだけど。ふとした時に思い出しちゃうんだよなあ」
「僕は……」
サツサトさんは俺の答えを静かに待った。
「みんなと騒ぎながらゲームしてる時の“俺”も、結構素に近くて。だから、最後の夏の何日かをサツサトさん達と過ごせるのは、嬉しいですよ。ネット上の友達は、画面の中……なんでもない文字、写真、音声……その向こうに相手がいる。架空の存在なんかじゃない確かな友達です」
「どう過ごすのが正解かなんて、誰にもわからないよね」
「はい?」
「元カノがいてさ、一昨日電話してきたんだよ。半年ぶり? 俺が休日出勤や残業多くてあまり会えなくてさ。振られたんだけど……今になって会おうって言われて。しばらくネットの友達と遊びに行くから無理って言ったら、ネットの友達と今会うの? なんでよりによって。なんて言われちゃったわけ」
サツサトさんが両手でハンドルを握り、ピアノを弾くように指をパタパタと動かす。
渋滞に少し苛立っているのか、元カノの発言を思い出して苛ついているのか、俺にはわからなかった。
「俺もだいぶ悩んだし……今もまだ悩んでる。全部終わるってわかっててどう過ごすのか。今は――……俺が一番俺らしく居られるのがここだから。別に――ネットで繋がったとか関係ないじゃんって開き直って楽しむことにしたんだけど。ふとした時に思い出しちゃうんだよなあ」
「僕は……」
サツサトさんは俺の答えを静かに待った。
「みんなと騒ぎながらゲームしてる時の“俺”も、結構素に近くて。だから、最後の夏の何日かをサツサトさん達と過ごせるのは、嬉しいですよ。ネット上の友達は、画面の中……なんでもない文字、写真、音声……その向こうに相手がいる。架空の存在なんかじゃない確かな友達です」

