すぐにその先に視線を向けると、そこにあったのは……。 「……カツラ……?」 木に引っかかっている、黒い髪。一瞬ホラーかとぞっとするような視界だった。 「ウイッグのようだが……」 窓から身を乗り出し、引っかかっているものに手を伸ばした。 ——途端、俺の中で何かが溢れるように、脳裏に浮かんだひとりの人の姿。 「これは……」 この感触を、俺は知っている。 頭を撫でたあの時、触れた感触と重なった。 ——……由姫? 俺の中で全ての点と点が繋がり、線になった瞬間。