私ではなく蓮さんに用事があったのか、拓ちゃんは蓮さんの顔をじっと見ながら……というよりも、睨みつけながら口を開いた。



「お前……」



何を言うんだろうかと、じっと拓ちゃんの続く言葉を待つ。



「由姫のこと、ちゃんと守れよ」



私の耳に入ってきたのは、そんな言葉だった。

た、拓ちゃん……。

言われた蓮さんは、驚いた表情で固まっている。

そ、そうだよね、幼なじみからこんなこと言われたら、困るよねっ……。

でも……拓ちゃんが心配してくれているのは伝わってきて、なんだか胸がじんとした。

蓮さんが、「……ああ」とそれだけ返事を返す。

そして、拓ちゃんに背を向け歩き出した。



「また明日な、由姫」