「早く行きましょうっ……!」



顔が赤いのを隠すように、視線を逸らしてそう言った。

蓮さんの隣に並んで、生徒会室のほうへと歩き出そうとした時だった。



「由姫!」



背後から大きな声で名前を呼ばれ、振り返る。

そこにいたのは……真剣な表情で私を見つめている、拓ちゃんだった。

追いかけてきたのか、拓ちゃんがいたことにびっくりして目を見開く。

どうしたんだろう……?



「どうしたの、拓ちゃん?」



隣にいる蓮さんも、何事だという表情で拓ちゃんを見ている。

拓ちゃんは、少しの間じっと私を見つめた後……何かを堪えるように下唇を噛み締め、ゆっくりと近づいてきた。

そして、蓮さんの前で立ち止まる。


あ、あれ?