俺は春季の無言を了承と受け取り、再び考えを巡らせる。



「な、何がありがとうなんだよ!!……ったく……」



意味がわからないといった様子の夏目は、一旦置いておこう。

やっぱり春季は、サラの居場所を知っている。

そして、サラがいたという事実に、驚いた様子は見せなかった。

つまり、春季は今日ここにサラが来ることを知っていたか……サラがここにいることは、春季にとって“驚くようなことではない”、ということだ。

さも当然かのような態度……いやでも、ここでまたひとつ疑問が。

春季は、サラに会えずに荒れていた。なら、サラが近くにいると知っているならば……飛び出してでも会いに行くはずだ。

まるで、「いつでも会える」とでもいうかのような態度にしか見えなかった。