ありえない事態が重なり過ぎて、思考が考えることを放棄するように止まってしまう。
何も考えられず、俺はただ目の前にいる再会を望んだ人物を、呆然と見つめた。
向こうも驚いている様子で、大きな目をさらに大きく見開いていたが、すぐにハッとした表情に変わった。
そこからは一瞬の出来事だった。
すぐに立ち上がり、窓から出て行ったサラ。
「待って……!!」
近くにいた夏目がとっさにそう声を上げたが、俺と舜は動けなかった。
我に返った時には、もうサラの姿は見えなくて……さっきのは夢かと思うほど、曖昧な記憶となっていた。
夏目も、サラがいなくなった方向を見ながら呆然としている。
今……本当に、サラがここにいたのか?