俺を見て顔を青くしている夏目くんと目が合い、にこっと微笑んであげた。



「こいつ……やべー……!」



逃げようとしたやつの髪を鷲掴んで、背中を蹴る。

頭から倒れて痛そうに悶えているそいつ。さらに追い討ちをかけるように、踏みつけてやった。



「おい……へばってんじゃねーぞ」



お前らがふっかけてきたんだろ……もっと楽しませろよ。



「ひっ……!?」



情けない声を出しているやつらを、なぎ倒していく。

まだまだこんなもんじゃねーぞ……。

そう、ほくそ笑んだ時だった。



「みんな……!!」



綺麗なソプラノの声が、体育館内に響いたのは。

僕は手を止め、声がしたほうへ視線を向ける。

……由姫?

視界に映ったのは、紛れもない由姫の姿だった。