行くか……。
俺は天王寺に指定された場所へと、足を動かした。
さっきの、不安げな由姫の顔が脳裏をよぎる。
由姫。心配なんかひとつもする必要ない。
お前は俺が——絶対に守る。
指定された廃墟化している倉庫の前に、天王寺の姿があった。
ここに来たのは久しぶりだ。基本的に、こんなところに用事がある奴はいないだろうから、来るほうが珍しいけど。
確か前に来た時は……fatalからNo.1を奪った時だった。
「……」
俺に気づいた天王寺が、無言でこっちを睨んでいる。
こいつの威嚇なんか、少しも怖くない。
あたりには人気もなく、少しだけ驚いた。
慢心しているわけではないが、俺と天王寺が戦って、天王寺に勝算があるとは思えない。