「親父に呼び出されただけだ。ただの雑用だから」



そ、そっか……。

少しだけほっとしたけど、それでも不安が消えたわけではなかった。



「じゃあな。また明日」



今度こそ、そう言い残して出て言った蓮さん。

私は蓮さんのいなくなった部屋で、ひとり不安を抱えたまま立ち尽くすことしかできなかった。

あんなの、ただの夢だよ……。

気にしない、気にしない……。

掃除をしながら、南くんからの連絡を待ってよう……。

雨の音が、一層激しさを増していた。