続けてそう言えば、ようやく言葉を発した西園寺。



《No.1はともかく……》



電話越しにでも、奴がどんな表情をしているのかがわかった。



《由姫はもとから、お前のもんなんかじゃねーぞ》



音質が震えるほど、低い声。



《お前に譲ってやれるもんなんか、何もねーよ》



……あ?

吐き捨てるような言葉とともに、ブチッと電話が切られた音がした。

……言ってろ。

スマホを放り投げ、ベッドに倒れ込む。

明日……西園寺と決着がついたら……。

俺は、もう一度由姫に会いに——。

そこまで考えて、いつの間にか眠りに落ちていた。


その日、それぞれが……嵐の前夜を、過ごしてた——。