総長さま、溺愛中につき。③〜暴走レベルの危険な独占欲〜




 一番近いルートで裏庭へ急ぎ、誰もいないことを確認して春ちゃんに電話をかける。


 お願い、出て春ちゃん……!


 ……春ちゃんも、こういう気持ちだったのかな。

 私に電話をかける時……。

 そう思うと、申し訳ない気持ちが溢れて、すぐに邪念を払うように首を横に振る。

 今はそんなこと、考えている場合じゃない……。


 春ちゃん、出て……!


 そう願った時、プツッという音がスマホごしに聞こえた。



《さ、ら……?》



 よかった、繋がった……!



「春ちゃん、今どこにいる?」



 確認のため、そう聞く。



《が、学校》



 外から、雑音が聞こえた。

 それと同時に、「ぐあっ……」と断末魔のような声が。きっと、ケンカ相手のものだ。