一番近いルートで裏庭へ急ぎ、誰もいないことを確認して春ちゃんに電話をかける。
お願い、出て春ちゃん……!
……春ちゃんも、こういう気持ちだったのかな。
私に電話をかける時……。
そう思うと、申し訳ない気持ちが溢れて、すぐに邪念を払うように首を横に振る。
今はそんなこと、考えている場合じゃない……。
春ちゃん、出て……!
そう願った時、プツッという音がスマホごしに聞こえた。
《さ、ら……?》
よかった、繋がった……!
「春ちゃん、今どこにいる?」
確認のため、そう聞く。
《が、学校》
外から、雑音が聞こえた。
それと同時に、「ぐあっ……」と断末魔のような声が。きっと、ケンカ相手のものだ。

