だったら……どうして?

 まさか、好きな人ができた、とか……?



《お願い。別れよう春ちゃん》



 サラの言葉には、固い決心の色が見えた。

 完全に、俺と別れる気だ。

 サラのこの声を俺は知っている。

 絶対に……譲る気がない時に出す、真剣な声色。

 嫌だ。ありえない。サラが俺の世界にいないなんて……。



「……っ。嫌だ、絶対に別れな――」

《私もう、春ちゃんのこと好きでいられない》



 ……っ。


 それは、俺にとって死刑宣告をされたも同然だった。



《……さよなら春ちゃん》



 嫌だサラ。待って。お願いだから、なんでもするから……捨てないで……っ。



*次回の更新4月2日(木)13:00〜*