「由姫、ずっとスマホ光ってるぞ」

「ん……」

「彼氏からだろ? 着信拒否にしたほうがいい」



 そう忠告したけど、由姫はまどろみの中にいるのか、ぼうっとしている。

 うー……と小さく声を出しながら、俺の腕に抱きついてきた。



「れん、さん……」

「……っ」



 幸せそうに目を閉じ、再び眠ってしまった由姫。

 はぁ……。



「生殺しにもほどがあるだろ……」



 寝顔は天使だが、とんだ小悪魔だ。

 俺は右側に熱を感じながら、邪念を払うため目をつぶって必死に他のことを考えた。

 結局その日は眠れぬ夜を過ごしたけど、由姫はぐっすり眠れたみたいだから問題ない。