あれだけ色恋に現を抜かす人間を軽蔑していたのに……ミイラ取りがミイラになるとはまさにこのことだなとため息がこぼれた。
でも、幸せだから構わない。
由姫を見つめながら、ふっと笑みがこぼれた時、布団の中で何かが光っていることに気づいた。
……由姫のスマホ?
ポケットから落ちたのか、ずっと光っている画面。
勝手に見るのはダメだと思いつつ、せめて画面を落とそうと思い手を伸ばす。
……ん?
画面に映った文字が、見えてしまった。そこには、『春ちゃん』という名前が。
誰だ……?友達?
電話がやみ、今度は通知数を知らせる画面に変わる。
……っ。
俺はその数に、目を疑った。
着信134件……?
驚いていると、また着信を知らせる画面に変わる。

