笑顔ひとつでこんな……いつか死人が出るぞ。
本気で、そう思った。
「……行くか」
「はいっ」
笑顔で頷いた由姫。また胸が締め付けられた。
いちいちこんなことになっていては、心臓が持ちそうにないな……。
俺の部屋に来る支度を終えたらしい由姫に、机にあるものを指差す。
「その変装道具はいらないのか?」
「もうバレてしまったので、蓮さんの前では変装する必要はありません!」
まるで特別と言われている気がして、優越感が湧き上がった。
こんなしょうもない感情が自分にあるなんて、少し自分自身に落胆する。
「あ……でも、念のために持って行きます……!」
由姫の言葉に、そうしてくれと心の中でつぶやく。
もし舜や生徒会のやつらが急に家に来ることがあれば困る。

