出てくるなり、俺に飛びついてきたそいつ。とっさに受け止めたが、俺の脳内では混乱が起きていた。
……誰だ?
「蓮さん……!」
……っ!?
「……ゆ、き?」
俺の名前を呼ぶ声が、紛れもなく由姫のものだった。
……待て、どういうことだ……?これ……由姫?
「む、虫がっ……た、助けてっ……」
怯えた声を出しながら、しがみついてくる由姫。
目の前の人物への困惑と、由姫に抱きつかれているというふたつの出来事に、俺の脳内はますます混乱状態に陥った。
「虫?……ちょっと待て、誰だ?」
「誰……?な、何を言ってるんですか?」
「お前は……由姫、なのか……?」
「ゆ、由姫ですよ!白咲由姫……!蓮さん、わ、私のこと忘れちゃったんですか……?」
どうやら、本当に由姫らしい。