だって……春ちゃんはきっとわかってるはずだ。
賢い人だから……気づいてないはずがない。
《サラ、待って、話し合おう……!何かあったの?》
知らないふりをする春ちゃんとこれ以上話していたくなくて、ぎゅっと目を瞑る。
スマホを持つ手にも、力が入った。
春ちゃんが……私に気づかれないと思って浮気を重ねていたんだと思うと、虚しい。
「お願い。別れよう春ちゃん」
これ以上私の中の春ちゃんが崩れる前に、もう終わりにしよう?
せめて思い出の中でだけは、輝いていてほしいよ。
大好きな、春ちゃんのままで……。
《……っ。嫌だ、絶対に別れな——》
「私もう、春ちゃんのこと好きでいられない」
春ちゃんの声を遮って、はっきりと告げた。