私は、朝から窮地に陥っていた。

 ね、寝坊しちゃった……!!

 結局できなかったけれど、昨日深夜まで蓮さんに連絡しようかと悩み夜更かしをしてしまった。

 目が覚めると8時で、サーっと血の気が引いた。

 遅刻ゼロを目指しているから、慌てて支度をする。

 寮生活で遅刻なんてしたら、お母さんに怒られちゃう……!

 お弁当は今日はもう間に合わないから、食堂で済まそうっ!

 なんとか15分で支度を終えて、家を出る。

 よし、間に合いそう……!

 エレベーターを待ちながら、ほっと息を吐いた。

 ピンッという音を立て、エレベーターが到着する。

 乗り込もうと思った時、私は人が乗っていることに気づいた。

 ……蓮さん?

 降りてきたのは……制服に返り血のようなものをつけた蓮さんだった。

 ようなもの、じゃない。

 これは返り血だ。



「……っ」



 驚いて、息をのむ。

 蓮さんも、私がいることに気づいて目を見開いた。

 気まずくて、とっさに目を伏せてしまう。

 蓮さんは何も言わず、自分の部屋へと戻っていってしまった。



*次回の更新5月19日(火)13:00〜*