「あいつはすぐに戻ってくる。もともと、由姫がきてくれる前は、まともに出席すらしていなかったからな。由姫がきてくれて、生徒会のやつらはみんな助かってる」



 恐る恐る顔を上げると、ふっと柔らかい笑みを浮かべる滝先輩と目があった。



「あいつが帰ってきたら……たくさん仕事を押し付けてやろうな」



 滝先輩……。



「まだケーキが残っているから、食べていいぞ。俺は特攻隊のやつらの見舞いに行ってくる」



 先輩はそう言って、席を立った。

 もしかしたら、気を使ってひとりにしようとしてくれているのかも。



「あまり根詰めるなよ。疲れたら帰ってもいいからな」



 いたわりの言葉までくれる滝先輩に、私はこくりと頷いた。


 笑顔を残し、生徒会室を出て行った滝先輩。

 私は滝先輩の優しさに、少しだけ心が軽くなった。

 蓮さん……本当に、戻ってきてくれるかな……。