美味しい……美味しい、けど……。
どうしてだろう……なんだか、何かが足りないような、そんな喪失感が拭えない……。
理由なんて、わかっていた。
蓮さんがいない寂しさは、甘いお菓子でも消せないんだ……。
「うまいか?」
「は、はいっ!美味しいですっ……」
慌てて、笑顔でそう答えた。
このお菓子に罪はないし、すごく美味しいのに……ここに蓮さんがいてくれたら、もっと美味しかったのかななんて、思ってしまった……。
「それはよかった」
滝先輩と焼き菓子に、罪悪感を感じずにはいられなかった。
悟られないように、笑顔でお菓子を食べ進める。
すると、滝先輩がそっと私の口元に手を伸ばしてきた。
「……またついているぞ」
「す、すみませんっ……」
ま、また……恥ずかしいっ……。
「……蓮と、何かあったか?」
「え……?」