由姫の発言にまんまとかかり、うろたえているひとりの教師が立ち上がった。

　この中では一番在籍期間も長く、権力を持っている教師だ。

　楠木よりも……由姫の機嫌をとることを優先したらしい。

　まあそれが当たり前だろう。創設きっての天才と言われている生徒だからな。



「なっ……！」

「そ、そうですね！楠木先生は一度後退出を。職員会議を始めましょう」



　何か言いたげではあったが、これ以上はもう言い訳の余地もないと思ったのか、楠木は大人しく職員室から出ていった。

　あいつの処分は知らないが……いなくなったところで、まあ困ることはないだろう。

　あの程度の教師、代わりなんていくらでもいる。それに、人望もなかったようだからな。

　……さて。



「……お騒がせしてすみません。異論がなければ、会議を始めましょうか？」