総長さま、溺愛中につき。③〜暴走レベルの危険な独占欲〜



 もちろん俺も、大した戦闘力にならず、あっけなくやられた。

 ボロボロの状態で倒れながら、床の冷たさだけを感じていた。
 くそ……。潰さなきゃいけないのに……。

 俺の友人も多数、biteの被害に合っている……。

 クラスメイトも、鳳も……biteのいいなりにされているのを知っていた。

 だから、俺が……倒したかったのに……この有様はなんだ……っ。



『......おい、今度はfatalの新入りたちにしてやるよ!!』



 ……あ?

 biteの総長の言葉に、顔を上げる。

 そいつは天王寺に狙いを定め、近づいていた。



『やめ、ろ……やるなら、頭の俺たちでいいだろ……!』



 fatalの総長が叫んでいるが、助けに入る気力は残っていないらしい。



『かわいそうだなぁ? こんな弱っちいグループに入っちまったせいで……』



 ……うっせーんだよ……。



 卑怯な手しか使えねー奴らが……粋がってんじゃねーぞ……。

 まだ、少しは動けるらしい。

 手の届く場所に落ちていた鉄パイプを握り、俺は最後の力を振り絞ってそれを投げた。

 既のところで避けた総長に、舌打ちをする。

 ちっ……当たらなかったか……。



『てめぇ……先にやられてーのか!?』



 まあそうだな……。知り合いがやられるところを何もせずに見ているくらいなら……先にやられたほうがマシだ。

 天王寺のことはよく知らねーが……クラスメイトがやられるところなか、見たくねぇし……。

 最後の力を振り絞った俺に、逃げる力も、逃げる気も残っていない。

 ただ、激昂している相手が近づいてくるのだけがわかり、『ああ、死んだな……』と弱気なことを思った自分を鼻で笑い飛ばした。

 あっけない最後だった……。

 終わりを覚悟した時、扉を叩くような大きな音がアジトに響いた。



*次回の更新5月12日(火)13:00〜*