一斉に、マスクを被った人たちが舜先輩に襲いかかった。

 一瞬、大丈夫かなと心配したけど、必要なかったみたい。

 長い脚で最初に襲いかかってきた人を蹴り飛ばし、後に続いた人たちも次々となぎ倒していく。

 足技が得意なのか、的確にダメージの大きい場所へと攻撃を当てていた。

 喧嘩が上手い人の、戦い方だ。

 あっという間に全員を返り討ちにした舜先輩は、まだ物足りないと言った様子で顔を歪めた。



「よわっちーな……どいつもこいつも……」



 いや……しゅ、舜先輩が強すぎるだけだと……。

 くしゃっと髪をかいて、前髪を戻した舜先輩。

 メガネもかけ直し、ふぅ……と息を吐いている。

 何はともあれ、一件落着かな。

 私が動画を撮らなくても、あとは倒れている人たちのマスクを外して舜先輩が確認するだろう。

 録画を止めようとした時、倒れているうちのひとりが動いたのが見えた。

 舜先輩の後ろにいるため、先輩からは死角になっている。

 その人はポケットから——ナイフを取り出した。



「舜先輩!!」



 まずいっ……!!

 私は慌てて、物陰から飛び出した。