万が一逃げられても、背丈や制服の癖から素性を判別できるかもしれない。

 ひとまず助けに入る必要はないだろう。舜先輩は相当強いだろうし、私は証拠を残すことに専念しよう。

 そう思い、スマホのカメラを回す。

 舜先輩を囲んでいるのは……ざっと10人。



「ああそうだ。俺は今忙しいんだ。お前たちの相手をしている暇はない」

「そう言わず、ちょっとだけ遊びましょうよ~」



 表情は見えないけれど、随分とヘラヘラしている様子。

 勝算があるのかな……10人がかりでも、舜先輩は倒せないと思うけど……。



「余裕がないから、手加減してやれないが……それでもいいなら相手になってやる」



 舜先輩の言葉に、彼らがバカにしたように笑った。