「やっかいだな……」



 舜先輩の言葉に、滝先輩が悩ましげに呟いた。

 額を押さえながら、再びため息を吐いた舜先輩。



「こんな時に蓮のやつは何をやってるんだ……全く。理事長の仕事よりもこっちを優先してほしいものだな」

「……」



 何もかもが自分のせいのような気がして、視線を下げた。

 元はといえば、春ちゃんが暴れたのも私のせいで……。

 ……生徒会のみんなには、迷惑しかかけてない……。

 私はここに……いても、いいのかな……。



「……そろそろ行ってくる」



 少し面倒臭そうにしながらも、ファイルを持って立ち上がった舜先輩。



「1時間程度で戻ってくる。留守を頼んだ」

「ああ」



 舜先輩は、毎週職員会議に参加している。


 生徒が職員会議に参加って……と驚いたけど、生徒代表として出席しているのだそう。



「いってらっしゃい舜先輩」


 舜先輩を見送って、私も自分の仕事を再開した。

 ……あれ?

 ふと、舜先輩のデスクが目に入った。

 あれは……いつも職員会議の時に持って行ってるファイルじゃ……。

 舜先輩が忘れ物をするとは思えないから、今日は必要ないのかな?とも思ったけど、もし忘れていたなら大変だ。

 滝先輩は電話対応をしていたため、私はファイルを持って生徒会室を出た。







 早く届けなきゃと、職員室のほうへ急ぐ。

 中庭に入る途中、50メートルほど先に舜先輩の背中を見つけた。

 いた……!

 走る速度を、上げようとした時だった。




*次回の更新5月9日(土)13:00〜*