「そんなことされても、私は春ちゃんのこと……苦手になるだけだよ?」



 卑怯な手……というのは言い過ぎかもしれないけど、春ちゃんのそんな策には乗りたくない。

 春ちゃんのこと、これ以上苦手になりたくないよ。



「ご、めん……もう言わないから、許して……」



 懇願するように言った春ちゃんに、「うん」と頷いた。

 わかってくれたならいいの。



「お、俺……もっとちゃんと好きになってもらえるように努力するから」

「……うん」



 春ちゃんが、変わろうとしてくれているのは伝わっているよ。

 一昨日だって、ちゃんと私の言うことを聞いてくれたもの。

 このまま……純粋に友達に戻れる日が来るといいなと思いながら、ぱくりと卵焼きを食べた。