「来てくれてありがとう」



「こっちでごはん食べよう」と、ふたりで小さな部屋に入る。

 秋風が冷たかったから、室内で食べるような形になり風よけとしてありがたかった。

 お金持ち学校は、変わったものばっかりあるなぁ。



「昨日は……急に電話してごめんね」



 私の顔色をうかがうように、謝ってきた春ちゃん。



「私も、着信拒否しててごめんね。春ちゃんと距離を置きたかったの」

「……うん、わかってる」



 悲しそうに微笑む春ちゃんに、なんともいえない気持ちになった。

 気まずさを紛らわせるように、お弁当を広げる。



「あっ、由姫お弁当……?」

「うん。春ちゃんはパン?」



 春ちゃんが持っているのは、紙パックのココアと菓子パンがふたつ。