益々苛立ちを隠せない様子のふたりに、苦笑が溢れる。
どう収集をつけようと思っていると、ずっと傍観していた舜先輩が口を開いた。
「由姫を送ってくれたことは感謝する。が、用がないなら早く帰れ。由姫、行くぞ」
えっと……ここで別れたほうがいいのかな。
みんなにバイバイと言おうと、振り返る。
すると……。
「……おい」
沈黙を貫いていた拓ちゃんが、声を上げた。
聞いたことのないような、低い声。
拓ちゃん、どこからそんな声出してるの……?と、また私の頭上にはてなマークが増えた。
「あんたらの頭に言っとけ。由姫に手出すなって」
頭って、蓮さんのこと?
舜先輩が、フッと意味深な笑みを浮かべる。