「どうして、変装なんて……」



 わざわざ、よくわからないメガネと髪も何かかぶっていたのはどうしてなんだ?

 あまりに入念な変装に、俺もまったく気づけなかった。



《お父さんからの条件だったの。西園寺高校に通うならこれをつけなさいって》



 ……そういうことか……。

 サラの話を聞くに、サラの家族は相当な過保護。

 まあ、あんなにかわいい娘がいたら当然過保護になるだろうけど。きっとこんなかわいいサラを、悪評高い西学に入れるのはためらわれたんだろう。



《別に責めるつもりはないんだけど……春ちゃんはきっと気づいてくれるだろうから、びっくりさせようと思って……》


 ……っ。

 サラの言葉に、俺は何も言えなくなった。

 そうだ、悪いのはサラでも変装でもない。気づかなかった俺だ。