「サラの……由姫の電話に出ただろ」



 由姫が……サラ?

 俺は、そのサラという女にあったことはなかった。

 だが、知っていた。他人に無頓着な俺でさえ。


 それほど……サラという存在は、有名だった。



 ――nobleの人間がみんな、口を揃えて探していたから。



 舜も滝も、南も新堂も……血眼になってサラという女のことを探していた。

 それがまさか……由姫だったなんて。

 しかも……別れた恋人が、fatalの頭とか……。

 頭が痛くなってきた……。



「ごめん、なさい……」



 由姫が、泣きそうな声で言った。

 謝罪なんかいらないのに、なんて言ってやればいいのかわからなかった。

 由姫が嘘をついていたとか、そんなことは思わない。