蓮さんは春ちゃんを目にも見えない速さで殴り、殴られた春ちゃんはそのまま倒れてしまった。

 は、春ちゃん……!




「……っ」



 相当痛かったのか、春ちゃんは殴られたところを押さえながら痛みをこらえている。

 駆け寄ろうとしたけど、先に蓮さんに抱き寄せられた。



「……由姫に、何やってんだ」



 聞いたことのないような低い声で、倒れている春ちゃんを睨みつけている蓮さん。

 その表情に、私でさえもゾッとした。

 春ちゃんが、ゆっくりと起き上がって、なぜかハッと笑った。



「そうか……由姫って……あの双子が言ってた時点で気づくべきだった……。やっぱり……あの電話に出たのは、お前だったのか」



 ……電話?



「あ?」

「サラの……由姫の電話に出ただろ」