驚いている地味女を無視し、勝手に中に入る。

 近くにあったソファに腰を下ろし、スマホの画面を開いた。

 暇だし……連絡先の整理でもするか。

 遊び相手の女の連絡先を、片っ端から消していく。

 もう、俺にはいらない存在だから。

 連絡先に残ったのは、fatalの奴と親族と、サラのみ。


 ……うん、これでいい。


 写真のファイルから、昔サラと撮った写真を開く。

 この時は……まだfatalがNo.1だった時。

 nobleからNo.1の座を取り返せば……サラも少しは振り向いてくれるだろうか。

 サラに戻ってきてもらうことしか考えてない俺は、そんなことを思った。

 ……視界の端で、地味女がちらついている。

 仕事をしているのか、パソコンに向かいひたすらキーボードを叩いていた。



 ……ん?

 こいつ……声がサラと似てると思ってたけど……背丈も一緒くらいだな。



 よく見ると、動作のクセも似ていた。



 見れば見るほど、そいつの後ろ姿がサラと重なった。



 俺はその違和感に、いてもたってもいられず立ち上がる。

 急に立ち上がった俺に、女が驚いた様子で振り返った。









 ――俺は、どうして今まで気づかなかったんだ。








 頭に、鈍器で殴られたような衝撃が走った。





*次回の更新4月28日(火)13:00〜*