「良好関係を保つためだ。最近のお前の素行はひどかったからな、生徒会にどれだけ迷惑かけたか、考えればわかるだろ?」



 謝るという行為は、昨日までの俺なら死んでもしなかっただろう。

 他人に頭を下げるなんてごめんだ。サラ以外に、謝罪の言葉なんてくれてやる必要はない。

 でも……。






「……なあ、そういうのうざいって。つーか冬夜、お前nobleの奴と仲良しこよししすぎだろ」



 俺が返事をするよりも先に、夏目が横槍を入れてきた。



「ま、そこは同意。俺たち一応暴走族だよ? なんで敵に媚びへつらわなきゃいけないわけ?」



 秋人まで入ってきて、ふたり揃って冬夜に詰め寄っている。



「うるせーぞお前ら」



 俺はそう言って、ソファから立ち上がった。



「これは俺の問題だ」

「は?」

「……行ってくる」

「……ちょっ、春季? 何言ってんの? どこに?」



 驚愕しているふたりは放って、冬夜のほうを見る。






「おい、生徒会室ってどこだ」

「任せろ」



 すぐに、スマホにナビを送ってくれた冬夜。

 校内を移動するのにナビを使うのはどうなんだと思いながらも、ありがたく使わせてもらう。



「嘘、だろ……謝りに行く気? 本気? 急にどうしたの?」



 秋人が、ひどく動揺した様子でそう聞いてきた。

 どうしたもこうしたも……変わらねーと、サラが戻ってきてくれないから。



「てめー……プライド捨てたか?」



 相当キレているのか、夏目が鋭い瞳で俺を睨んだ。

 プライド……。



「そうだな……余計なプライドはな」



 もう、俺には必要ない。



『優しくて、正義感が強くて、みんなを守ってた真面目な春ちゃんに戻ってほしいよ」